1903年創業、東京墨田区の「株式会社小笠原染革所」。
羊革・山羊革・鹿革や、カーフ・キップの仔牛革など、1枚1枚丁寧に製造・加工しています。
今回は、「小笠原染革所」の代表取締役社長である小笠原 誉行様に、インタビューの機会を頂戴しました。
- 「小笠原染革所」代表取締役社長
- 大学卒業後、イギリスのネネ・カレッジ(現ノーサンプトン大学)に留学し、革づくりの基礎を一から学ぶ
- 社長就任後、ターゲットを絞ったニッチな革づくりにシフトチェンジ
- 環境保全に配慮した排水・廃棄物処理の実践や労働環境の整備を積極的に行う
ぜひ最後までご覧ください。
小笠原染革所はどんな革を作っているの?
小笠原染革所は、都内でも数社しかない、原皮の調達から鞣し、染色、加工までを一貫して行なっているスキンタンナリーです。
ソフトな風合いの革づくりに定評があり、婦人靴やバッグ、レザージャケットやスカートなどの材料に使われる革を製造しています。
小笠原染革所では革製品として最もメジャーな牛革だけに限らず、羊革・山羊革・鹿革などの小判の革づくりも得意としています。
羊革は柔らかく軽いのが特徴で、手袋やジャケット、モカシンなどに適しています。
山羊革は羊革よりも丈夫で少し重さがありますが、特徴的な肌みを持っていてカジュアルにもフォーマルにも向くのが良いところです。
鹿革は大きくて柔らかく、羊の良いところと、中盤の牛の良いところを持っているような革です。
素材はスペイン、フランス、ギリシャ、エジプト、サウジアラビアなど、世界中から厳選した原皮を仕入れています。
創業当時から、原皮の仕入れのはすべて海外まで足を運び、直接見て良質な素材を求めてきたということからも、高品質なものづくりへのこだわりが感じられます。
長年培われた卓越した加工技術と、充実した設備から生まれるオリジナリティの高い革は、革1枚から出荷されています。
革製品を作っている企業はもちろん、個人で革製品を作るクリエイターからも信頼を集める高品質な革を作っている会社です。
\革1枚から購入可能!/
小笠原染革所はどんな会社?
1903年、「小笠原染革所」は革問屋から独立する形で創業されました。
関東大震災を機に現在の土地に移り、現在に至ります。
第二次世界大戦時は軍需産業で忙しく、戦後は手袋用の革を作るタンナーとして操業。
その後は時代に応じてジャンパーやジャケットやスカートなどの衣料用の革、婦人靴用の革などが作られてきました。
用途の変化はあるものの、創業当時から素材の特性に合わせた革づくりの技術が受け継がれています。
羊革や山羊革は、革製品として最も多く流通している牛革と比べると、サイズが小さくて薄く、柔らかいことが特徴です。
そのため、羊や山羊の特徴に合わせた規格の設備も整っています。
カーフやキップ、馬革やその他の革など、それぞれの素材に合わせた製造・加工も幅広く行っています。
創業以来、革1枚1枚に思いを込めて、良質な革を作り続けている会社です。
- 住所:〒131-0031 東京都墨田区墨田4-31-7
- TEL:03-3611-6951
- FAX:03-3616-6703
- Official Website
消費者に知ってほしい「革製品はサステナブルであるという」こと
皮革製品は食肉の副産物として、最も良いリサイクルの仕方で昔からずっと消費されているものです。
しかし、現代では革を毛嫌いする風潮が目立ってきています。
「本革を使用しない」といった理念を持つアパレルブランドや、本革シートを作らない自動車メーカーが増えています。
AppleもiPhoneケースやApple Watchのバンドなど、全製品でレザーの使用を廃止すると発表しました。
近年「皮革製品は存在自体がいけないもの」といったイメージや誤解がどんどん広がっていると言えます。
革製品の正しい知識を普及することを目的とした「TLA(Thinking Leather Action)」というグループに、小笠原染革も名を連ねています。
1.革製品のためだけに、動物の命をいただくことはありません。
2.革製品を使うと、脱炭素につながります。
3.お肉、革製品、化粧品など、動物からいただいた命は、余すことなく活用。
4.革製品は長持ち。だから地球にやさしい。
という4つの視点から、革製品にまつわる事実を「TLA」は世に伝えています。
皮革製品の正しい認識を多くの人が持ち、環境に配慮して作られた革製品を長く愛用することこそ、本物のエコでサステナブルな在り方です。
\サステナブルな革を作る過程を知る/
小笠原染革所の地球環境保全への取り組み
小笠原染革所は環境保全の取り組みにも積極的に取り組んでいます。
排水処理やゴミの分別、革を作るのに必要な薬品など、すべて検査を受けて、人間の身体に害がないものだけを選んで使用しています。
大気汚染を引き起こす原因物質の排出削減への取り組みとしては、「Clear Skyサポーター」への登録。
事業ゴミに関しては条例に則り、許可業者に委託、適正に処理し、薬品の空き樽やファックス紙等は再利用しています。
東京都環境局の水質汚濁防止法排水基準に則り、工場敷地内に排水処理設備を完備しています。
時代に適応しながら、環境にできるだけ負担をかけない方法での皮革製造を追求しているのです。
小笠原染革所まとめ:ソフトな風合いの革づくりが得意なタンナー
昔ながらの伝統的で、環境に配慮しながら皮革を製造する小笠原染革所。
変わらない製法を続ける中でも、トレンドを追ったり、アイデアを盛り込んでオリジナリティの高い皮革を作っています。
「日本で革を必要とするメーカーさんがある限り、作り続けたい」と語ってくださった小笠原様。
お忙しい中貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
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