天然染料100%で染められている「enku(えんくう)」の「藍染革」。
その深みのある美しさは、今もなお追求され続けているオリジナル技法でしか表現できない特別なものです。
今回は、「enku」の染色家であり革職人の原田賢一さんに、インタビューの機会を頂戴しました。
- 2010年 「藍染革」の製作に着手
「kenichi harada」として販売・活動を始める - 2013年 屋号を「enku」に定める
- 以降、さまざまな技法を用いた製品を生み出し精力的に活動している
日本独特の革を目指して製作された「藍染革」の魅力をたっぷりお届けします。
ぜひご覧ください。
「enku」の「藍染革」ってなんだろう?その特徴と魅力について
「enku」の「藍染革」は、一枚一枚が天然の藍のみで染色されています。
10以上に及ぶ「enku」の染色技法は、「型染め」や「まき蝋」などの伝統的な技法をベースに、原田さんによって生み出されました。
染色には、牛革・馬革・鹿革・猪革などのさまざまな素材が用いられています。
「藍染め」の革は布と比べて液体の吸収スピードが遅く、藍色のグラデーションが効果的に表現されるのが魅力です。
液体から空気にふれさせて酸化させることで、はっきりとした色が出てきます。
天然の藍の美しさが際立っており、思わず吸い込まれてしまいそうな色をしていますよね。
「enku」の「藍染革」は、「Migaki(磨き)」シリーズ、「Shiboai(皺藍)」シリーズ、革の自然な風合いを楽しめる「Bridle(ブライドル)」シリーズの3種類。
「藍染め」というベースは共通していますが、革の仕上げ方でそれぞれの特徴は異なります。
スムースレザーのようにきめ細かく滑らかな「Migaki」は、特に鞄の中に入れて持ち歩きたいという人におすすめです。
また、型押し仕上げで傷に強く丈夫な「Shiboai」は、あまり気を遣わず思う存分に使いたい人に向いています。
それぞれの用途に合ったものを選べるのもまた「藍染革」の魅力の一つですね。
「enku」では、季節限定生産革の製作も行なっています。
雪の紋様が出る「雪藍(せつらん)」、収穫したばかりの蓼藍で染める「生葉染革」など、風情を感じられるものたちに出会うことができますよ。
時期に合わせてコレクションしてみるのも味わい深いかもしれませんね。
\「藍染革」についてもっと知りたい/
「enku」はどんなブランド?ものづくりへの想いと背景
「enku」は、2013年に原田さんによって立ち上げられました。
「enku」を漢字にすると「縁空(えんくう)」。
広く美しい空と、世界中の人々とのご縁に思いを馳せ、ご縁の「えん」と空の「くう」を繋ぎ合わせて名付けられました。
「enku」では、「藍染め」をはじめとして、「藍の生葉染め」「藍の茎染め」「草木染め」など、天然染料を使用した革製品の染色・製作を行なっています。
そのすべての製品は、一から手作りされたもの。
原田さんは、普段の製作と同時並行で、藍畑の種まきから収穫までの畑作業もされているんです。
原田さんが「藍染革」の製作に着手されたのは、2010年のこと。
当時は天然染料で染める革があまり世に出ておらず、「これをやってみるのは面白いかもしれない」と「藍染め」に関心を持たれました。
そして、「日本独特の革を創りたい」という想いから、今に至るまで研究を続けられています。
幼い頃からものづくりへの興味があり、小学生時代は図工の授業がいちばん好きだったという原田さん。
革を染めるときも、製作するときも、つねに「これを使う方が一歩前にいる」という意識を大切にされています。
「人に渡すもの、使ってもらうものだということを心がけていますね」
原田さんの高い技術力と人間としてのあたたかみがたくさん詰まっているのが、「enku」のアイテムたちなのです。
- 住所:東京都
- Email:enku@comfortable-time.com
- Official Website
「enku」のおすすめ&人気商品は?オーダーメイドで理想を形に
「enku」では、オーダーメイドのご相談を積極的に受け付けています。
実際に「こういうの作れますか?」と相談されるお客さんも多く、人気の高い「enku」のオーダーメイド商品。
「こんな革小物を使いたい」
「お気に入りのものと同じように作ってほしい」
こうした消費者の理想を形にするために、原田さんは丁寧に寄り添ってくれます。
「enku」のオーダーメイドにかかる料金は、作業工程と革の面積で計算される分のみ。
原田さん自身の技術力向上にも繋がるからという理由で、オーダーメイドそのものに料金はかかりません。
「むしろ、作るタイミングをいただけて感謝しますという気持ちです」
お客さんからの要望やパターンは財産となり、オンリーワンの商品を生み出す原動力にもなっています。
オーダーメイドってちょっと敷居が高いかなと思われている方も、ぜひ気軽に相談してみてくださいね。
もちろん、「enku」の既存の商品もすべておすすめですよ。
「enku」の商品は、enku公式オンラインショップを中心に販売されています。
店舗を持たない理由は、お客さんとダイレクトに繋がることでコストを最小限に抑えられるから。
「藍染革は珍しいけれど高くて手が届かない」とならないように、販売方法にも十分に配慮されています。
また、「enku」では、ご希望の方にはカットサンプルを送り、革の手ざわりや仕上がりを確認いただいています。
肌感覚で雰囲気を知ることができるので、なかなか購入に踏み切れないときの参考になりますよね。
年に1、2回はポップアップイベントに参加する機会もありますので、ぜひ情報をチェックしてみてください。
\どんな商品と縁があるかな?/
「enku」の「藍染革」を長く愛用するには?メンテナンス方法や経年変化について
藍染めの革というと、何か特別なメンテナンスが必要かと思われるかもしれませんね。
「enku」の「藍染革」は、一般的な革製品と同じようなお手入れの仕方で大丈夫。
「藍染革」は、使う人が扱いやすいように、あえて一般的な革と同じ感覚を目指して製作されています。
月に一度くらいの頻度で、クロスで汚れを取りクリームを薄く塗り広げ、余分な油分を拭き取ってお手入れは完了です。
撥水加工もしっかりされているので、雨に濡れるようなことがあっても心配ありません。
「藍染革」は、使用するうちに濃くなるところや薄くなるところが出てくるため、立体感のある色合いを楽しめます。
鞄に入れたり、ポケットに入れて外に持ち歩いたりと、使用する環境によっても状態が変化していきますよ。
天然染料ならではの色落ちや色の劣化が、「藍染革」の魅力を引き立てています。
また、「藍染革」には、同じ革から切り出した商品でも使う人によって色合いが変わるという面白い特徴があります。
たとえば、パートナーと同じ商品を同じタイミングで購入して使用すると、2〜3年後には色の表現がまるっきり違っているなんてこともあるんです。
こうした色の変化は、「藍染革」ならではの独特な面白さですよね。
\「藍染革」の色んな変化を見てみたい/
「enku」まとめ:革のことをより深く知ってもらえる機会を作りたい
「enku」の「藍染革」の魅力について、お分かりいただけたでしょうか。
「皆さんがいろんな革を知れる機会を作っていきたいですね」
消費者の皆さんにもレザーソムリエの資格試験を受けて頂きたいという思いも交えながら、原田さんは語ってくださいました。
革への知識を取り入れることで、身近なレザーグッズともより楽しく向き合うことができそうですよね。
耐久性が高く、環境意識の面でもすぐれている「enku」の革製品。
きっと、愛用していく中で私たちにたくさんの気づきをもたらしてくれるにちがいありません。
今回は、「enku」の染色家であり革職人の原田賢一さんにインタビューさせていただきました。
お忙しい中貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
\自分だけのアイテムをオーダーしてみようかな/